Adjustment of Ignition Timing (点火時期の調整) |
実を言いますと私の組んだエンジンは組んだ時に点火時期を合わせておりません。でも、ちゃんと下から上まで回ります。 なぜでしょう? 英語のサービスマニュアルを引っ張り出して、点火時期の調整について調べてみるとその理由がわかりました。 今回は点火時期の合わせ方とGAシリーズの点火装置の特徴についてサービスマニュアルに沿って説明していきたいと思います。 |
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英語なのでその日本語に訳していきたいと思います。 記載されている内容がどうしても理解できない部分もありますが、つじつまを合わせるように説明していきます。 説明には予備の3号エンジンを使って、実際の部分を確認していきます。 マニュアルの本文(英語)は 赤字 訳は 黒字 私の説明や補足は 青字 で示していきます。 | |
a. Remove the change pedal and left cover. チェンジペダルと左カバーを外します。 |
写真1 |
カバーはネジ3本で止まっているだけですので簡単に外せます。でも固着していることが多いのでネジ山をなめないように慎重に外してください。 硬い場合はインパクトドライバーを使った方が無難ですが、くれぐれも衝撃でカバーやケースを破損しないように注意してください。 |
写真2 |
b. Align mark "B" on the spherical surface of flywheel with mark "A" on the L.H. crankcase by turning flywheel. フライホイールを回転させ左クランクケースにある印「A」?とフライホイール曲面上にある印「B]を合わせます。 (赤字の部分ですが、後で出てきますが「C]と同じような気がします。マニュアルの写真も「A]はフライホイールを指しています。意味不明です。 |
写真3 |
c. Loosen fitting screw "E" and adjust contact breaker points so they are just about to open by moving contact breaker assembly with screw driver in shoys "F" and "G". Be sure to tighten screw "D" after adjusting. コンタクトブレーカー(ポイント)を固定してあるネジ「E]を緩めて、スロット「F]と「G]をドライバーを使ってコンタクトブレーカーアッセンブリを動かすことによって接点がちょうど開き始めるように調整します。調整後、必ずネジ「D]?を締めるようにして下さい。 (赤字の部分ですがマニュアルを見てもネジ「D]などありません。おそらく「E]の間違いだと思われます。 |
写真4 |
点火時期の調整は写真3の状態(つまりフライホイールがついている状態)でフライホイール側面の隙間からドライバーを差し込んで行います。ポイントの離れるタイミングはテスターや豆電球を利用すると接点が離れた瞬間がわかると思います。今回は説明するために今回フライホイールを取りしました。 |
写真5 |
ついでですのでフライホイールの外し方をここで説明しておきます。 フライホイールホルダー(Y字型の工具)でフライホイールを固定しながらフライホイールを固定してあるナットを緩めて外します |
写真6 |
フライホイールはナットを外しただけでは固着していて取り外せません。フライホイールプーラーを使ってフライホイールを引き出し外します。 |
写真7 |
これが外した状態です。 注意!! この状態ではポイントを調整することはできません。調整する場合は必ずフライホイールが付いている状態で行ってください。というのはポイントの開閉を行っているのはフライホイール内側にあるカムだからです。フライホイールが付いた状態でなければ開き始めを確認することは通常では難しいです。 |
写真8 |
d. After that turn flywheel in normal direction (to left), and the point will begin to open where incised line (B) on external circumference of flywheel is aligned to mating mark (C) on end surface of crankcase. 通常の方向(左へ)フライホイールを回転させると、フライホイールの外周上に刻まれた線(B)がクランクケース側面にある印(C)と合うところでポイントが開き始めるでしょう。 a のところで述べたように説明がおかしいです。「A]と「C」は同じです。それとクランクケース側には印など見つかりません。(写真3を参照してください。)合わせる位置はポイントベースを固定してあるリブの向かって左端の辺りです。だいぶアバウトな感じですが、本来合わせる位置はまたこの後で説明いたします。 |
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e. When adjusted timing, maximum gap between contact points become 0.012 〜 0.016 in (0.3 〜 0.4 mm) automatically, so it is not necessary to adjust point gap. タイミングを調整した時、コンタクトポイント間の最大ギャップは 0.012 〜 0.016 インチ ( 0.3 〜 0.4 mm ) に自動的になります。ですからポイントギャップの調整は必要ありません。 サムライではポイントの最大ギャツプを調整しますがGAシリーズの場合その必要がないということです。つまり逆を返せば点火位置の調整をした時最大ギャップが規格内でない場合、そのポイントは交換しなければならないということになるのだと思います。 |
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さてさて、では正確な点火時期はどこなの?という部分について説明していきます。 マニュアルの中程に Ignition timing という表があると思います。この表は上死点(ピストンが一番上にあるときのこと)前のクランクが何度のところで火花を飛ばすかということの表です。GA2の場合は上死点前20度となっています。では、その位置はどうやってわかるのかということになりますが、表でGA2の行と上死点 ( Piston Position Befor TDC ) 20°の列が交差するところの数値を見ますと、0.077 in ( 1.96 mm )となっていますね。つまりクランクを回転方向に回したときピストンの頭の位置が上死点からマイナス1.96mmの位置にある時が正確な点火時期ということであります。 このことから正確に点火時期を合わせたい場合は、ダイアルゲージでピストンの位置を計る必要があります。一度合わせればそう滅多にずれることはないはずと思われます。(実際、私はバラして組み直したときには点火時期を合わせていませんが、ちゃんと走っております。ただの言い訳です。)後はこの型のエンジンはギャツプの調整機能がないということに注意してください。ギャップの調整のつもりで線を合わせてポイントの開きをいじると点火時期が狂うことになります。 |
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3号エンジンはピストンがありませんので、ここで代打の2号エンジンの登場です。2号エンジンはGA0Aのエンジンですけど、GA2と違うのはミッションのみです。点火系は1号エンジンへ移植してしまったので3号から移植して検証再開です。私の持っているダイアルゲージはプラグ穴に差し込んで計ろうとするとフィンが当たってしまいピストンの頭まで計測部の突起が届きません。ですから、さくっとヘッドははぐって直接計ります。 右写真9のようにダアルゲージを固定して上死点の位置でダイアルゲジの計測部を押し当て目盛りをゼロに合わせます。 ここからクランクをゆっくり逆回転(フライホイールを右回転)させ上死点前1.96mmを出します。(写真10参照)私のダイアルゲージは1回転が1mmなので2回転弱ですね。この位置でポイントの接点が切れるようにすれば点火位置は完璧です。 |
写真9 写真10 |
さて、最後ですが上死点前1.96mmの時のフライホイールの位置は?といいますと、右の写真のとおりポイントベースを固定するリブの左端ですね。ですから、無理してヘッドをはぐってダイアルゲージを当てなくてもこの位置で合わせてポイントの接点が切れるようにさえ調整すれば良いという訳です。GAのポイントベースは可動式ではありませんのでポイントをむやみにいじらない限り点火のタイミングが大きく狂うことはほとんどないと思います。 完 |
写真11 |