エレクトリックレボリューション

私のGAは重大な欠陥を抱えていました。それは電装が6Vであるということです。6Vのメリットなんて・・・何もありません。最大のネックは電圧をバッテリーで制御しているということです。このころの6V車にはレギュレータがついていません。ジェネレーターで発電された交流電流はレクチファイヤーにて直流化されますが、電圧はそのままでバッテリーへ放り込まれます。これが悪の根源なのです。バッテリーに多大な負荷をかけてしまい、すぐに過充電となりその役目を終えさせ、その結果制御されていない電流がハーネスを伝って各電装へ送り込まれる。結果は明白。送り込まれた過大な電流によってフィラメントは一瞬で焼き切られるのだ。つまり、全開で走っていてちょいとブレーキなんかを掛けてみると、ブレーキランプは即ご臨終。ウインカーを出してもご臨終。ライトなんか点けたときは、花火のように一瞬で散ってしまう。こんなことに気を使ってちゃバイクなんか乗った気になりません。

不安定な電装は走りにも大きな影響を与えます。電気の消費で一番大きいのはヘッドライトですが、ジェネレータで賄える電気が少ないためなのかプラグの火花に影響を与えているようです。ちゃんと火が飛ばせなくなるようです。私のGAはライトを点けるとボボッボボッというかぶった感じになって吹けなくなり、無理にスロットルを開けるとエンストを起こす始末でした。これは6Vが原因ではないのですが、電装を見直す機会に改善せねばならないと以前から考えていました。

まずは情報収集からです。今はインターネットという大変便利な情報網があるので、短時間で必要な情報が揃います。もしこれをネットなしで調べるとなるととんでもない時間と労力を費やすことになります。本当にありがたい時代です。

今回参考にさせていただきましたサイトはバイクブロスさんもっと積極的にチャレンジ!電気いじりはコワクナイ!というモトメンテナンスの記事と、よく拝読させていただいている進行性W病さんの中にありますOn Any Sendaiというコラムです。 さて、ここで分かったことは次の3つです。

@発電される電気の電圧はコイルの巻き数に比例する。
A発電量は磁場の強さに比例する。
B発電される電流はコイルの線径に比例する。

私の懸案を解決するには、@とAをとりあえずクリアすれば良いのではと考えました。

まずは@からです。具体的にこれをクリアするためには次の2つの方法がネットには紹介されておりました。

A.充電コイルを巻き直す。(巻き数を増やす。)
B.充電コイルとライトコイルを直列につなぐ。

A案のメリットはコイルのみの加工で済み配線自体は変わらないということで、デメリットはコイルの巻き直しに時間がかかるということです。実際には電圧が巻き数に比例する訳なのだから、巻いてあった数の2倍巻かなければならないということになります。これはとても面倒です。銅線も用意する必要もありますし、コイルを巻くのもコツがいりそうです。この案は私には無理かなと思いました。

B案のメリットは2つのコイルをつなぎかえるだけで、巻き数を増加させることができるということで、デメリットはできる車種とできない車種があるということです。車種によっては充電コイルとライト用コイルが分かれていないものもあるからです。幸いGAはコイルが分かれていたので、こちらを採用できるのではないかと考えました。

では、配線はどうなるかといいますと、下の写真を比較してください。左がノーマルで右が改良したものです。(画像をクリックすると拡大して見れます。)


ノーマル配線図

改良版配線図


改良点 : 充電コイルとライトコイルを直列にし(配線図ではコイルが3つありますが、実際は充電コイルが2重に巻いてあるのでコイルが2つなのに配線図上は3つになっている。)、直列にしたコイルの両端から出る水色と黄色の2配線を新設したレギュレートレクチファイヤーに接続し、直流化された電気をッメインハーネスの水色の線につなぐ。レギュレートレクチファイヤーの1線はアースする。そしてもともとあったレクチファイヤーをキャンセルし、メインハーネス青白線をバッテリーのプラスへつなぐ。メインハーネスに残った黄線は直接バッテリーのプラスから線を新設し接続する。

注意:配線図ではバッテリー、灯火類が6Vになっていますが、実際は12Vのものにに交換しなければばりません。

これでOkなはずであるが、さて実際は・・・


予備にあったG8のポイントベースとローターです。これとジャンクのGA用ポイントベースを使ってやってみたいと考えました。
上がG8用で、下がGA用です。だいたい同じ感じなのですが、G8のコイルの仕組みがどうなっているのかわからないので、コイルはGAのものを使いました。
上がライトコイルで下が充電コイルです。こんな感じで並列につながっています。
これがGA用のライトコイルです。片側がコイルをベースにとめるネジで共締めされてアースとなります。もう片側は充電コイルと並列につながっていて、充電コイルの2重に巻かれた部分の端から黄色の線が出ています。
今回はこのアース線と充電コイルの並列部分の線をつなぐことによってコイルを直列化させました。
こちらが充電コイルです。2重に巻かれている部分から出ている赤い線を切断してライトコイルのアース部分へつなぎます。
仮留めしてみて線の長さを確認してみます。つなぐ線の距離は圧着端子分の長さでなんとかなりそうと判断しました。
圧着端子でこんな感じにつなぎました。
でも、ここで早くも失敗していることに私は気づいていませんでした。
コイルを取り付けるとこんな感じです。フエルトの取り付けが少し干渉してしまい窮屈です。
圧着端子にカバーがあるので、ここからショートすることはないと考えました。とりあえずこれでチャレンジしました。
ポイントベースの裏側です。コイルからの線の取り出しは問題なさそうでした。
ポイントベースを取り付けて、点火時期をあわせました。見た目は問題なさそうでしたが。。。
ウインカーリレーがついていた位置にたぶん原付用のレギュレートレクチファイヤーを取り付けました。またこれとは別にSR400用もバッテリーボックス上に置いて、その2つを試しました。
バッテリーはサムライから先日取り外したお古を充電しなおして再利用。大きいためバッテリーボックスに収まらないので、こんな風に無理矢理シートレールに乗せました。テストなのでこれで十分です。
で、テストの結果は散々でした。すったもんだやっていましたので、写真がありません。結論から言いますと充電していませんでした。考えられる原因は2つ。
@コイルの断線
Aコイルの接続の失敗(つながっていない)
怪しいのは明らかにAです。心当たりありありです。
圧着端子でつないで安心していたのが大間違いで、コイルの線が皮膜されていることをすっかり忘れていました。まずはコイルの線の皮膜を紙やすりで磨いて導通を確認。次に、圧着端子での接続もぎりぎりでしたので、コードにかえてハンダで接続しなおしました。コイルを接続後、今度はコイルの両端から出ている水色線と黄色線の間の導通を確認。今度はOKでした。
ポイントベースの裏側。つないだ部分(赤線)は絶縁して、他の部分に干渉しないように取り回します。
表側。黒線が2つのコイルをつないでいるコードです。写真では接続部がむき出しでっすが、ちゃんと絶縁して取り付けました。
接続部はコイルの線とコードをより合わせて、その上からハンダで固めてあります。結構頑丈につながっています。
翌日早速テストをしました。磁力による発電の違いも確認したかったので、GAとG8両方のローターで試してみました。
一応良好です。これはチョークを引いた状態でのアイドリング時です。レギュレ^トレクチファイヤーはSRのものです。
次にライトオン。数字的には問題ないのですが、スロットルをひねると少しかぶります。やはりGAのローターでは発電量が少ないようです。
ローターをG8のものに交換。違いが出ることを期待してエンジンを掛けました。
チョークを引いた状態で、この数字です。少し高い気もしますが良好です。ライトオンしても全くかぶりません。ようやく長年の懸案から開放されました。
後日バッテリーボックスに収まる大きさのMFバッテリーを新調して、再度テストです。今度は原付のレギュレーターを試しました。
良好良好♪ SRのレギュレーターはおそらく密閉式には適していないと思いますので、このまま原付用を使用することにしました。
さて、最終テストです。6Vのときと違ってニュートラルランプが明るいです。実際に乗ってみてどうか。少し不安でした。
エンジンはいたって良好。キック一発で始動します。
ライトオンで走行しましたが、全く問題ありません。ただウインカーがニュートラルの時しか点滅しません。リレーと電球の組み合わせが良くないのだと思います。それ以外は問題なしでした。でも、どの程度バッテリーに影響があるのかは今後様子をみていかないといけないと思っていますので、しばらくテスターを持ち歩くことにしました。




あいかわらず汚い仕事で醜いですが、なんとか走れるようになりました。しばらく通勤とかに使ってみて膿を出したいと思います。
最後にここに紹介していることはあくまでも私個人の責任のもとで行っています。参考にされるのは問題ありませんが、もし行うのであれば各個人の責任のもとで行ってください。よろしくお願いいたします。

(完)


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